クアッドレベル・セル(QLC)・ソリッドステート・ドライブ(SSD)とマルチレベル・セル(MLC)SSD には、共通点がたくさんありますが、重要な点で異なり、どちらが最適な選択肢となるか影響します。
適切な SSD の選択は、常にユースケースに左右されます。しかし、QLC SSD と MLC SSD を比較検討すれば、どちらがニーズに適しているかが明確になります。
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QLC と MLC の違い
QLC SSD と MLC SSD の主な違いは、充電レベルです。QLC SSD の充電レベルは 16 種類、MLC SSD の充電レベルは 4 種類です。つまり、QLC は 1 つのセルに 4 ビットを格納し、MLC は 1 つのセルに 2 ビットを格納します。この違いは、QLC SSD が MLC SSD と異なるその他の点、具体的には次の点に起因しています。
- 容量:QLC は 1 セルあたりより多くのビットを格納します。MLC の 2 ビットに対し、QLC は 4 ビットです。その結果、QLC SSD のデータ・ストレージ容量は、MLC SSD の 2 倍になります。
- コスト:QLC SSD は容量が大きく、ハードディスク・ドライブ(HDD)に優るとも劣らないテラバイト単価を実現します。ストレージ容量が増加するとストレージ単位あたりのコストが低下するため、QLC SSD は MLC SSD よりも安価になります。
- 信頼性:QLC SSD は、MLC の 4 レベルに対して 16 の異なる電圧レベルを持つため、一般的に MLC SSD より信頼性が低くなります。これらの電圧レベル間の差が非常に小さいため、読み取りプロセスは MLC よりもノイズに敏感になり、ビットエラー率が高くなります。
- 性能:QLC SSD は、MLC SSD よりも 12 レベル多い電圧レベルを持っています。これにより、各電圧レベルをチェックし、データの読み取り時にビットに変換する必要があるため、速度が遅くなります。コントローラは、これらの電圧レベルを正確に測定して、どのデータを保存するかを決定する必要があります。16 レベル(QLC)を区別するには、4 レベル(MLC)を区別するよりもはるかに時間がかかります。
- 耐久性:フラッシュ・セルの充電レベルが高いほど、サポート可能な P/E または書き込みサイクルが少なくなります。したがって、QLC フラッシュは MLC フラッシュよりも書き込み耐久性が低くなります。業界仕様では、通常、MLC は 10,000 P/E サイクル、QLC は 500~1,000 P/E サイクルとなっています。
NAS、SAN、サーバー用に QLC SSD と MLC SSD のどちらを購入するべきか?
QLC SSD と MLC SSD の違いについて解説しました。次に、どちらを使用すべきか、具体的な使用シーンを詳しく見ていきましょう。
QLC SSD が MLC SSD よりも優れている点
前述のように、QLC SSD は、MLC SSD よりも容量あたりのストレージ・コストが低くなります。SAN や NAS が書き込み操作よりもはるかに多くの読み取り操作を利用する場合は、QLC ドライブが最適です。QLC ドライブは、MLC ドライブと同等の持続的な読み取り速度を提供します。例えば、ビデオ・ストリーミング・サービス・アプリは、データセンターでの書き込み操作よりもはるかに多くの読み取り操作を必要とします。映画などのビデオ・コンテンツは、一度 SAN に書き込むだけで済みます。この映画は、何千回も視聴されます。QLC ドライブは、このようなユースケースに最適です。
QLC SSD よりも MLC SSD を使用すべきケース
より高い性能、耐久性、信頼性が求められるユースケースでは、MLC SSD の価格差を許容できる場合、QLC SSD よりも一般的に MLC SSD の方が優れた選択肢となります。
MLC SSD の優れた耐久性、性能、信頼性により、サーバー、ビデオ編集ソフトウェアなどのディスク集約型アプリケーション、システムから最大限の性能を引き出すことを求める主流の消費者に最適です。SAN や NAS の書き込み操作が読み取り操作よりもはるかに多い場合は、MLC を使用します。書き込み量が多いシステムの好例として、クレジットカードのトランザクション・プロセッサが挙げられます。このプロセッサには、取引の履歴(書き込み)や、時には取引の検索(読み取り)のワークロードが伴います。
NAND に直接アクセス:従来の SSD の制限を回避
ピュア・ストレージの Purity オペレーティング・システムは、業界では他に類を見ません。SSD を完全にバイパスし、DirectFlash モジュールを介して NAND に直接アクセスする唯一のストレージ OS です。これにより、障害が発生し、電力を消費し、不要なレイテンシーを増大させる追加のコンポーネントであるフラッシュ変換層(FTL)が排除されます。このレイヤーを排除することで、統合アレイはアレイ内の全 NAND で適切なウェア・レベリング(摩耗平滑化)を提供し、QLC または MLC NAND のいずれを使用する場合でも、より優れた性能と耐久性を提供します。
結論:QLC SSD と MLC SSD の比較
QLC SSD は、MLC SSD の 2 倍のデータを保存でき、低コストです。しかし、QLC SSD は TLC SSD よりも性能や耐久性が低く、エラーが発生しやすい傾向があります。一方、MLC SSD は、QLC SSD よりも優れた性能と耐用性を発揮し、データやコストも削減します。
どちらを使用するかを決める際には、ユースケースと要件を目安にしてください。また、市場には、トリプルレベル・セル(TLC)SSD やシングルレベル・セル(SLC) SSD も数多く存在していることを忘れないでください。
また、SSD の品質はメーカーによって大きく異なる場合があることに留意してください。
容量を増やす必要がありますか? FlashArray//C を QLC SSD で試す
ピュア・ストレージの FlashArray//C は、クアッドレベル・セル(QLC)フラッシュという、別のレベルのフラッシュ・メモリを提供します。名前のとおり、QLC は 1 セルあたり 4 ビットを格納し、大容量化を実現しながら NVMe(Non-Volatile Memory Express)の性能を提供します。QLC フラッシュは、容量が最適化された NAND メモリ技術で、HDD に匹敵するテラバイトあたりのコストを提供します。
FlashArray//C は、他のストレージ・ベンダーのソリューションのようなフラッシュ SSD モジュールを使用する代わりに DirectFlash モジュールを使用しており、未加工のフラッシュを NVMe 経由で直接接続できるため、レイテンシを低減し、スループットを向上させます。これにより、FlashArray//C は QLC フラッシュ・モジュールの性能を最適化し、ハイブリッドおよび HDD ストレージ・アレイに匹敵する容量あたりのコストを提供します。
FlashArray//C には、次のようなメリットがあります。
- Purity オペレーティング環境を通じて、オンプレミスとクラウドの両方の全ストレージ・リソースを管理するための単一画面
- 性能重視、容量重視、どちらのワークロードにも対応する俊敏性を備えた、モダン・データ・ストレージ・ソリューション
- 業界初のオール QLC エンタープライズ・ストレージ・アレイによる低コストの NVMe 性能
- Evergreen ストレージにより、ダウンタイムやデータ移行なしで真の無停止アップグレードを実現